タコの値段高騰により日本市場開拓の可能性

海産物を多く食べる日本では7月2日「タコの日」という日があります。

大阪、京都、神戸などの関西やたこ焼き発祥の地である明石では「タコの日」が市民の間で浸透しています。地元の人々はタコの刺身料理、タコの酢の物、たこ焼きなどを食べその日を祝います。

このタコの日を目前に記者である私の元にベネズエラからベネズエラ産輸入タコのための市場機会があるかどうかを尋ねるメールを受け取りました。私の答えとしては「年によって機会の可能性は変化する」といえるでしょう。

通常、日本市場ではモロッコとモーリタニアからの輸入タコが主流ですが、供給不足時にはそのギャップを埋めようとします。 昨年の例として、モロッコから約17,000メトリックトンを、モーリタニアからは約12,000トンを輸入しました。それに加え、中国から約8,000トン、 ベトナムから3000トン、他にもメキシコ、タイ、インドネシア、インド、ペルーからはそれぞれ1000トン未満を輸入していました。ベネズエラ産はこのどの統計にも当てはまりませんでした。

日本の輸入量は、季節的なパターンに従い、1月から4月まで量が増加、その後 5月に急激に減少、秋〜冬の間に再び上昇する前に8月までさらに低下する流れがあります。 4月と5月はモロッコとモーリタニアのタコ漁業が休みの期間に入ります。彼らは日本のタコ輸入業界のトップ供給者なので日本のタコの輸入量はその間減少してしまいます。この休みの期間中、次の漁期の捕獲制限と価格は分からない状態がほとんどです。

2017年のモロッコ産のタコの季節が例年より遅くなり、また欧州での強い需要があったことから日本のバイヤーがタコの数を確保することが難しくなりました。特に欧州連合(EU)のバイヤーが日本市場のサイズ(サイズ6)よりも大きいサイズ、サイズ7と8を入札することで、価格はさらに引き上げられました。 韓国も同様の規模の商品で対抗しています。

米国国立海洋大気局(NOAA)は、日本最大の魚介類市場である築地で4月から月産223トンのタコの取引が行われており、平均価格はキログラムあたり583円(5.17ドル、4.51ユーロ)という現状を報告しました。 これは1月から4月の平均で、価格は平均で548円、4.86ドル、4.24ユーロとなります。

モーリタニアの公式魚マーケティング団体であるSociétéMauritanienne de Commercialization de Poissons(SMCP)が7月7日に更新した情報は以下の通りでした。

冷凍 大サイズ サイズ6 – 9,125ドル( 7,830ユーロ)、サイズ7 – 8,810ドル(7,560ユーロ)、 サイズ8 – 8,285ドル(7,110ユーロ)
冷凍 小サイズ、サイズ6 – 9,325ドル(8,000ユーロ)、サイズ7 – 9,010ドル(7,730ユーロ)、サイズ8 – 8,485ドル(7,280ユーロ)

ベトナムが中国を追いかける

ホーチミン市内のショッピングモールでベトナム人が食べ物や衣服、電化製品を買うとき 中国製品を避ける傾向にあります。中国はベトナムの近隣国ではあるが親しい間柄ではなさそうです。

「中国は多くの低品質の製品をベトナムに輸出しています。世界各国には輸出できないような品質の商品です。過去に何度も中国製品を試してきましたが品質が悪く避けるようにしています」と現地の人々は言います。

ベトナムと中国の間の政治的関係も購買を妨げる別の「要因」であると話します。

ベトナム人内では 品質の悪い製品に対する抗議として「Made-in-China」の購入を避けるのが通例である。 政治的関係 つまり過去の争いの記憶も深く関与しているだろう。両国は、ベトナムの東南シナ海の領土を巡って対立しており、その主張が1974年と1988年の海軍戦闘を引き起こし、1970年代に国境を巡る争いも起こっている。

ベトナムは、中国がパラセル諸島を支配するために軍事的なプレッシャーをかけていることも懸念している。

Boston Consulting Group に調べによると、2020年までに約9,300万人のうち約3,900万人が中産階級以上になると予測しています。消費者はベトナムでますます力を発揮していくことになるでしょう。2012年から始まった輸出産業の急激な成長はベトナム内の雇用を創出し、ベトナムを豊かな国へと変貌させました。

「同じ価格の製品を見つけて、ある製品が中国で、別の製品が日本、韓国、または他の国の製品であることが判明した場合、どの製品を購入するのかということは分かり切っていることです。ベトナムの人々の多くはは中国を大兄弟ではなくライバルとみなしています。最近問題になっている中国との南シナ海の島々の問題に対してさらに受け入れがたい拒否感を感じているのです。それは政府が宣伝しているわけでもありません。」
ホーチミン市内のコンタルサント企業 Dezan Shira & Associates business consultancy のシニアアシスタントである Oscar Mussons氏は話します。

Dezan Shira & Associates business consultancy

ベトナム当局者は、2014年の反中国暴動により20人以上が死亡する事故が起こり、それらの動きが投資家を脅かす恐れがあるため、中国との政治的紛争を回避しようとしています。しかし 争いがあった海で石油リグを建設しようとする中国の動きはさらなる暴動を引き起すきっかけになっています。

ベトナムは依然として中国を最大の貿易相手国とみなしており、ベトナムのメディア報道によると、輸入と輸出の合計は、今年上半期に255億ドルに達した。 ベトナムの輸出業者は、中国も原材料に依存している現状があるのも事実です。

ベトナム消費者は政治問題上においても中国が低品質な商品を送る源になっていると考えています。ベトナムの企業よりも大きい巨大な中国企業は生産規模が大きく圧倒的な低価格で販売することができます。

「一般的にベトナム市民の間では中国製品は低品質であると認識されていますが、低所得層の消費者にとって中国製品が唯一の選択肢である場合もあります」Boston Consulting Group 代表 Jason Moy氏は話します。

「低所得者が低価格で購入してしまう行動が安い不信感の強い中国製品をベトナムに残してしまっています。 国境を越えて運ばれたそれらの安価な製品は伝統的ベトナム商品を市場から追いやってしまいました。そして 貧しい人々が他の製品を買う余裕がないため、2014年暴動後の中国製品に対する組織的なボイコットはほとんど牽引力を発揮しませんでした」とシンガポールにある ISEAS Yusof Ishak Instituteの研究員であるLe Hong Hiep氏は話します。

安価な中国製スマートフォンの良い評判を聞き、中国製携帯電話を買っても数ヶ月後に壊れ、別の電話を買うはめになるのです。

中国製の靴だけが価値があると言う人もいます。1ペアあたり約1ドルで汚れてもすぐに交換することができるからです。

「人々は中国製品が低水準で低品質であることをきちんと意識しています。国境を超えて来る製品の多くは消費者向けの小物で、国境間において厳しい審査や基準を必要としないものです。一定の資金を持つ消費者は、高品質を維持する日本製品を好み、特にモータースクーターや家電製品を好んで購入しています」とMoy氏は話します。

ベトナムの家庭の子どもに対する支出

ベトナムでは親の所得が増える中、子どもに対して物を買い与える、課外活動をさせるなど選択肢が広がっています。

ベトナムの所得の増加は、両親や祖父母が子どもに多くの支出をすることを促し、乳幼児の専門製品の店舗チェーン拡大や、家庭教育、水泳レッスンなどの高価な教育サービスの普及も促進しています。

地元メディアのベトナムネットによると、昨年の子供用品市場は70億ドルに急増したと報告されています。

この市場ブームは「エンジェル」係数と呼ばれる数字を直接反映している。エンジェル係数とはNomura Securitiesが食料支出を測定するエンゲルスの係数に組み込んだもので、家庭内での子どもに対する費用の割合を表します。おもちゃの購入や課外活動への支出などが含まれます。

この市場ブームの背景には家計所得を増やしている国の経済成長があります。 家族の財産が増えれば、3人以上の子どもを持つことを選択する家族の数も増えます。その結果、数十年にわたる子どもの数政策が効果を失っていることを示しています。 この政策は、1988年以来、人口増加を抑制するように設計されたものです。

ハノイのPham Ngoc Thach通りにある6階建てのBibo Martストアは、ベビー用品を販売するだけでなく、無料の子育てセミナーが開催される場所も備えています。 店舗での売上高は年間で約30%上昇しました。 週末には若い母親が集まってきます。

1歳半の双子を抱える31歳の母親であるPham Thi Hueさんは、幅広い製品ラインナップと質の高いサービスを提供しているため、服やおもちゃなどの子供関連商品をこの店以外で購入することはできないと話します。

Bibo Martストアはベトナムに120店舗を持つベビー用品小売チェーンです。 同社は2019年までに店舗数を500倍に増やす予定で、資金を提供している住友商事の投資ファンドなどの企業から注目を集めています。

ここ数年、ベビー関連店であるConcongとKids Plazaは、それぞれ133店舗と71店舗になっています。ベビーカー、粉ミルク、おむつなどの人気商品は、ほとんどが輸入品です。 Soc&Brothersは、日本のグリコや他の企業と提携し、1月〜7月のベビーカーの売上高が年間で30〜50%増加したことを発表しました。

日本のAprica Children’s ProductsとCombi製のベビーカーが人気があります。 売れ行きの高いものは500万ドンの値札を800万ドン(220〜352ドル)まで上げています。

Soc&Brothersのマーケティング担当官Dao Viet Hung氏によると、高品質で高価な製品を選ぶ顧客の数は増えているという。

子供のための教育関連費用も上昇傾向にあります。 Sao Vietには100名のインストラクターがいます。そのほとんどは大学生で、家庭で教えるために派遣されています。

課外授業料は2時間120,000ドンで、授業料よりも20-30%高く設定されています。

Sao Vietによると、これらのサービスは毎月増えていき、その全てに需要があり人気があるそうです。

両親の多くはベトナムで人気がある”living skills”コースに子供たちを参加させています。子どもたちに軍で使用されているような生きるためのサバイバル術を教えたり、異文化を経験する機会を提供したりします。 これらのレッスンはとても費用がかさみます。

IEDVは9日間 800万ドンコースなどの高価なコースを提供していますが、2016年以降にユ顧客数は20%以上増加しました。

水泳レッスンもますます人気が高まっています。ベトナムのほとんどの学校はプールがないため水泳レッスンはほとんどありません。水関連の事故を防ぐ手段として、子どもを水泳レッスンに行かせる親が増えています。

Bang Linhは 日本パートナーであるルネサンスと一緒に水泳授業の主要的な役割を果たしています。Bang Linhの平均のコース料金は月額100万ドンで、ベトナムの平均所得から判断するとかなり高価ですが、8月初めから夏にレッスンを受けている子供の数は、昨年の同時期から約50%増加しています。

日本コンビニ業界の人手不足を外国人労働者で補う

昨年ローソンは日本に留学する予定の学生を対象にベトナムと韓国で労働研修を始めました。積極的に外国人留学生の人材を確保するためです。

同社は地元の派遣社員と連携し、参加者にレジ使用方法や接客方法を教えました。
このような職業訓練プログラムを早期に実施することにより参加者が最終的に日本に到着した後すぐに店舗で働けるようにしています。全国の専門学校と連携して留学生の募集説明会も昨年開催しました。
これにより留学生によるアルバイト雇用が増やせると見られています。

セブンイレブンは、フランチャイズ従業員専用の託児施設を開設するという従業員の労働環境を改善する計画を立てています。 9月には、東京都大田区と広島県西区の2階の店舗で2日間の保育園が開かれます。 同社はこの取り組みの結果により同じような店舗の数を増やすことも検討する予定です。

コンビニ業界の主要3事業者は全国に合計5万店以上のコンビニエンスストアを運営しています。 労働力不足を解決するために様々なビジネスチャレンジがなされるでしょう。

国際交流事業の一環として、千葉県、東京都、埼玉県、愛知県においてベトナム人技能実習生の受け入れ事業を行っております。

各企業はこの状況をどのように解決するのか、より深く考える必要があります。

日本の食品会社がベトナムに事業を拡大

Dau tu(Investment)の新聞記事によると日本の食品業界がベトナムに事業を拡大しようとしていることが分かりました。

今年初めに日本ベストフーズ社はベトナムのドンナイ州南部のロング・ドゥック工業地における肉製品の加工と保存に1400万ドル以上を注ぎました。

クールジャパン機構、日本ロジテム株式会社、クライングループの合弁会社である The CLK Cold Storage Company Limitedもビンズオン省の南部地域に冷蔵設備を建設するために1800万ドルを投入しました。

CLK Cold Storageの局長である Naoki Saka氏(漢字不明)は冷凍食品を提供するチェーン企業の確立は食品安全に対して高まる要求に応えるために不可欠であると語りました。

食品加工に携わる企業を含む約20社の日本企業代表団が投資市場を探るためにホーチミン市を訪れました。日本貿易振興機構(JETRO)の副長である Tatsuhiro Shindo氏によると、日本企業はベトナム、特にホーチミン市、バリア、ブンタウ、ドンナイなどの南部地域に興味があると言います。

同時に ホーチミン市のジェトロの代表取締役であるTakimoto Koji氏(漢字不明)は日本の企業内では ドライフルーツ、麺類、加工シーフード、牛肉、ワインなどのベトナム製品が人気があるとも語りました。

多くの日本の食品会社が、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、レストランを通じてベトナムに事業を拡大しようとしています。

ホーチミン市、ハノイ、ビン・ドゥオンにあるイオンなどの大きい商業施設以外で ファミリーマートなどのコンビニエンスストアが増えています。

統計によるとベトナムには1,000以上の日本食レストランがあり、その内 ホーチミン市には659のレストランが存在しています。

ベトナムは2016年のデータで日本の農産物や食料を輸入する5つの国の1つでした。東南アジアの国は、年間約4兆円(VND)もの水産物を日本から輸入しているのです。

労働時間の短い日本の居酒屋がベトナム人留学生に助けを求める

ベトナム人留学生が中国人スタッフの減少による人手不足を解消しています。

大阪と東京 で 労働者不足に悩まされている日本の居酒屋チェーンは、ベトナム人パートタイマーを採用している現状があり、大阪を拠点にする 焼き鳥の鳥貴族がこの流れを色濃く反映しています。全てのメニューが低価格でサービスされているようなチェーン企業は、外国人パート労働者の過半数を占めていた中国人スタッフの代わりにベトナム人を雇い、彼らは全体の1%を構成し、東京都心の一部の店舗では、マネージャーを除く全ての従業員がベトナム人で構成される時間帯のシフトもあるのです。

約1年半前 24歳のベトナム人女性が鳥貴族の大阪支店で働き始めました。大学にも通う彼女は接客は好きだが日本語はあまりうまく話せないと話します。鳥貴族のタッチスクリーンを活用した注文システムがそんな彼女の仕事をよりスムーズにします。

チェーン店は仕事に意欲を持ち独自のネットワークを持つベトナム人が働く場として人気です。「ベトナムには焼鳥と似た料理があるので馴染みがあります。また鳥貴族がとても日本語を勉強する学生にとって働きやすい環境であると知り合いや家族から聞いてやってきました」チェーン店で働く学生は話します。

日本ベトナム協会の小川弘行マネージングディレクターは「ベトナムのマスメディアは比較的未発達で、口で伝わる情報は速い情報力と信頼性を市民から持たれており、その中で鳥貴族も有名になったのだろう」と話します。

チェーン店を拡げる企業は 2021年7月までに1,000の支店を運営することを目指しているため人材の確保が最重要課題です。急速に増加するベトナムのスタッフの訓練を支援するため、同社はベトナム語で説明された料理マニュアルビデオを制作しています。

 

「彼らの日本語接客を向上させるためにもっと多くのベトナム語でのマニュアルを作成する必要があります」と鳥貴族のHidehito Nakanishi氏は話します。

 

「ベトナム人のパート従業員は非常に勤勉で真面目です。彼らが日本語に問題がなければ最高の人材です」と 天狗などのレストランをマネージメントするテンアライド社長 は述べています。

7月現在 テンアライドには480人のベトナム人のパートが在籍しており、2014年

に比べて約10倍の増加となっています。同社のアルバイト内でベトナム人パートは日本人の次に多い国籍となっており約18%を占めています。

はなの舞などを手がけるチムニーもベトナム人による人材確保を狙っています。

チムニー内においても 6月時点 512名の外国人パートタイマーのうち42% 214名がベトナム人になっています。