日本の原子炉輸出事業がベトナムで顧客を失う

ベトナムの国会はロシア、日本との関係における2つの原子力発電所を建設する計画を放棄すると表明しました。

福島の災害後の日本の原子炉輸出の動きと世界的に原子力事業に乗り出そうという政府の動きに対して原子力発電プロジェクトを廃止するための投票が行われたのです。

ベトナム政府は声明で議会の決定は技術的な理由からではなく経済的理由から行われたと述べています。

このプロジェクトに必要とされた推定投資額は、2009年以来倍増して400兆ドン(180億ドル)近くになったと国営メディアのTien Phong 氏は今月のLe Hong Tinh国会科学技術環境委員会副会長の言葉を引用して発表しました。

ベトナム政府の財政は公的債務が極限状態にあり、支出によってアジアで最も急速に成長している経済の一つとして維持している背景があります。

この動きに伴い、ベトナムの電力需要の伸びも鈍化する見込みです。

政府が2009年に2つのプラントの計画を承認したとき、ロシアのRosatomと日本企業のコンソーシアムに建設を委託して、日本の原子力発電所を率いて、ベトナムの年間電力需要の伸びは17〜20%になると予測されていました。

ベトナム電力公社(Vietnam Electricity Group)のDuong Quang Thanh議長は、2016年から2020年までの年間成長率は11%、2030年までは7〜8%になると考えています。

環境保護団体のグリーンピースグループは、他の再生可能エネルギーの選択肢が可能な場合には金の無駄であると発言し、原子力計画を打ち切る決定を歓迎する意思表明をしています。

グリーンピース地域キャンペーンコーディネーターのArif Fiyanto氏は、
「このプロジェクトは環境にも脅威を与える可能性があり、ベトナムは有毒な工業リークが今年初めに大量の魚の死を引き起こし、さらなる別の脅威に対応する余裕はありません」と話します。

ベトナムでは、4月に工場の有毒な成分漏れが200km以上の海岸線を襲い、 最悪の環境災害は100トン以上の魚を殺し、何千人もの労働者の職を奪いました。

ベトナムの原子力産業の後退は、ドイツやインドネシアが福島の事故を受けて原子力発電を廃止するか、開発計画を中止することを決定したことにも影響を受けています。

日本とロシアの原子力発電所はNinh Thuan州中心部に位置する予定でした。4000メガワットの複合能力を持っていたといえるでしょう。

ロシアのRosatom氏は「私たちは顧客の立場を尊重しますが、ベトナムが国家原子力発電プログラムの実施を続ける間の完全な支援を提供する準備はいつでも整っています」と話します。

Rosatomはベトナムから完全に撤退したわけではなく、ベトナムの平和な原子力エネルギーを支援する技術とインフラの開発に引き続き参加する予定です。

ベトナムと日本の観光を促進するMOU

ベトナムと日本は、観光を推進し、交流を促進を目指すことで同意し、両国は観光協力を促進するための覚書(MOU)に署名をしました。この署名はベトナム国家観光省(VNAT)と日本国政府観光機関(JNTO)によって行われました。

両国はこのMOUにより、観光促進、魅力的な目的地の紹介、訪問者の交流の促進、相互の関心のある分野での経験と情報の共有に関して互いに協力をすることになります。

JNTOはベトナムに駐在員事務所を正式に開設しました。 開会式で語ったVNATのNguyen Van Tuan総局長は、二国間観光協力の成果はすでに好調だと述べました。 2010年から2016年の間にベトナムを訪れる日本人観光客の数は平均して年間9%増加しています。

ベトナムでは、2016年に日本からの来訪者が740,000人で、前年より10%増加しました。

Van Tuan氏によると、約233,000人のベトナム人観光客が日本を訪れ、前年比26%増となっていると言います。 ベトナムにJNTO事務所を開設することで、両国間の出国者と入国者の数がさらに増加するだろうと付け加えました。 両国は、2018年までに日本人訪問者を100万人に、ベトナム観光客を50万人にまでに増加させる予定です。

JNTOのRyoichi Matsuyama 社長は、ベトナムの旅行者が日本料理、桜、様々な祭りなど、日本の異なる文化的側面を体験できるように、数十回のツアーを計画していると語りました。

JNTOベトナム事務局長であるTakahashi Ayumi氏は、事務所を開設することにより、ウェブサイトcamnhannhatban.vnなどの観光情報を活用し、ベトナムの大都市に住む人々の観光需要を刺激する予定であると語りました。 ベトナムのツアーオペレーターの日本へのツアー販売もサポートしています。

JNTOは、4月6日から9日に開催されるベトナム国際トラベルマート2017に参加する予定です。ベトナムは、昨年同期間に290万人増の320万人の外国人観光客を迎え入れました 。 これはベトナム国家観光省(VNAT)によって発表された情報です。

市場面では、ベトナムを訪れた人のうち、1月から3月までアジア人が230万人、次いでヨーロッパが約56万人、アメリカ地域は247,000人の訪問者で3位にランクインされました。 3カ月間のアジア人訪問者数は、昨年の同期間に比べて34%増加しています。

交通手段によって分類された場合、ベトナムへ空路を使って行く人は82%を占めています。海路を使って訪問する観光客の割合は最も少なくわずか3.5%でした。しかし絶対数は前年比で最高66%の増加となりました。

3月だけでも、100万人以上の外国人訪問者が入国し、前月比では16%減少していますが、前年比では21%増加しています。 これは良好な成果であり、VNATによれば、観光セクターの取り組みのおかげだと発表されています。

今年は観光産業が外国人観光客1150万人を獲得、国内訪問者数は6600万人に達し、今年は460兆ドン(204億米ドル)の収入を得ることを目標としています。

ベトナムが中国を追いかける

ホーチミン市内のショッピングモールでベトナム人が食べ物や衣服、電化製品を買うとき 中国製品を避ける傾向にあります。中国はベトナムの近隣国ではあるが親しい間柄ではなさそうです。

「中国は多くの低品質の製品をベトナムに輸出しています。世界各国には輸出できないような品質の商品です。過去に何度も中国製品を試してきましたが品質が悪く避けるようにしています」と現地の人々は言います。

ベトナムと中国の間の政治的関係も購買を妨げる別の「要因」であると話します。

ベトナム人内では 品質の悪い製品に対する抗議として「Made-in-China」の購入を避けるのが通例である。 政治的関係 つまり過去の争いの記憶も深く関与しているだろう。両国は、ベトナムの東南シナ海の領土を巡って対立しており、その主張が1974年と1988年の海軍戦闘を引き起こし、1970年代に国境を巡る争いも起こっている。

ベトナムは、中国がパラセル諸島を支配するために軍事的なプレッシャーをかけていることも懸念している。

Boston Consulting Group に調べによると、2020年までに約9,300万人のうち約3,900万人が中産階級以上になると予測しています。消費者はベトナムでますます力を発揮していくことになるでしょう。2012年から始まった輸出産業の急激な成長はベトナム内の雇用を創出し、ベトナムを豊かな国へと変貌させました。

「同じ価格の製品を見つけて、ある製品が中国で、別の製品が日本、韓国、または他の国の製品であることが判明した場合、どの製品を購入するのかということは分かり切っていることです。ベトナムの人々の多くはは中国を大兄弟ではなくライバルとみなしています。最近問題になっている中国との南シナ海の島々の問題に対してさらに受け入れがたい拒否感を感じているのです。それは政府が宣伝しているわけでもありません。」
ホーチミン市内のコンタルサント企業 Dezan Shira & Associates business consultancy のシニアアシスタントである Oscar Mussons氏は話します。

Dezan Shira & Associates business consultancy

ベトナム当局者は、2014年の反中国暴動により20人以上が死亡する事故が起こり、それらの動きが投資家を脅かす恐れがあるため、中国との政治的紛争を回避しようとしています。しかし 争いがあった海で石油リグを建設しようとする中国の動きはさらなる暴動を引き起すきっかけになっています。

ベトナムは依然として中国を最大の貿易相手国とみなしており、ベトナムのメディア報道によると、輸入と輸出の合計は、今年上半期に255億ドルに達した。 ベトナムの輸出業者は、中国も原材料に依存している現状があるのも事実です。

ベトナム消費者は政治問題上においても中国が低品質な商品を送る源になっていると考えています。ベトナムの企業よりも大きい巨大な中国企業は生産規模が大きく圧倒的な低価格で販売することができます。

「一般的にベトナム市民の間では中国製品は低品質であると認識されていますが、低所得層の消費者にとって中国製品が唯一の選択肢である場合もあります」Boston Consulting Group 代表 Jason Moy氏は話します。

「低所得者が低価格で購入してしまう行動が安い不信感の強い中国製品をベトナムに残してしまっています。 国境を越えて運ばれたそれらの安価な製品は伝統的ベトナム商品を市場から追いやってしまいました。そして 貧しい人々が他の製品を買う余裕がないため、2014年暴動後の中国製品に対する組織的なボイコットはほとんど牽引力を発揮しませんでした」とシンガポールにある ISEAS Yusof Ishak Instituteの研究員であるLe Hong Hiep氏は話します。

安価な中国製スマートフォンの良い評判を聞き、中国製携帯電話を買っても数ヶ月後に壊れ、別の電話を買うはめになるのです。

中国製の靴だけが価値があると言う人もいます。1ペアあたり約1ドルで汚れてもすぐに交換することができるからです。

「人々は中国製品が低水準で低品質であることをきちんと意識しています。国境を超えて来る製品の多くは消費者向けの小物で、国境間において厳しい審査や基準を必要としないものです。一定の資金を持つ消費者は、高品質を維持する日本製品を好み、特にモータースクーターや家電製品を好んで購入しています」とMoy氏は話します。